■ パパのための絵本づくり講座 ■

第3回 お子さんと一緒に絵本をつくろう!

さていよいよ、お子さんと一緒に絵本をつくってみましょう。
どんなお話が生まれるか、楽しみですね。

おはなしづくりへの導入

「ピッケのおうち」で遊んだことがあると、キャラクターや世界観に親しみがもてます。
できれば先に、パソコンで「ピッケのおうち」で遊んでみてください。
(Flashなので残念ながらiPhoneやiPadでは動作しません)

最初のとっかかりは、どんな方法でもOKですが、一例として。
新しい絵本を開いたら、ピッケをステージにドラッグして動かしてみましょう。「ゆかちゃん、こんにちは。何してあそぶ?」
ごっこ遊びの要領で、ピッケになってお子さんに話しかけてみましょう。

基本操作の説明を兼ねているので、移動、拡大縮小、回転など操作をしている様子を、ゆっくり見せてあげてください。
パレットの キャラクター/アイテム、アイテムの 空/森/池/家/食べ物/おもちゃ を切替えてアイテム類も一通り見せてあげながら。
「ボールあそびしようか」

「気球が飛んできたよ。宇宙まで行けるかな」

「アイス食べる?」

たぶん待ちきれなくて、まだ説明しているのに「私にやらせて、やらせて!」となることでしょう。
もし、おはなしがなかなか動き始めないようなら、なにか事件を起こしてみるのも良い手です。
「あっ、雨が降ってきました」 ゆかちゃんは傘をさすかもしれないし、急いでおうちへ帰ろうとするかもしれません。

贈る相手を決める

「○○にプレゼントしようか?」と、お子さんにもちかけてみてください。
小さな弟や妹、ママ、夏休みや冬休みに久しぶりに会うおじいちゃん、おばあちゃん、イトコたち、引越した友だち。
贈る相手があると、俄然はりきります。つくりながら相手に思いを馳せることができますし、できあがった絵本を贈る嬉しさも味わえます。

左は、つかさくんがお兄ちゃんに贈った絵本の最後のページ。「おにいちゃん パイロットになれるといいね」
右は、りゅうのすけくんが、妹のりさちゃんに贈った絵本。文字の無い絵本ですが、優しい気持ちが伝わってきますね。

おはなしづくり

ステージ上にキャラクターやアイテムを並べながら、どんどんつくっていきましょう。
それぞれの年齢でどんな感じになるかと言うと(あくまで目安です、かなり個人差があります)
3~4歳でしたら、つながりのあるお話にまではなかなかならず、好きなものを並べて一場面ずつつくる程度になるでしょう。
画面上でお子さんが指をさしておしゃべりするのを、パパが「絵本」というカタチにして定着してあげるイメージです。
整えようとせずに、好きなように作らせてあげてください。一見脈絡がないようでも、1冊にしてみると繋がりが見えてくることもあります。
4~5歳くらいから、難しい操作だけ手伝ってあげれば、作れるようになってきます。
笑う/泣くなど表情を変えられることを教えてあげてください。感情表現があると、物語が深まります。
6歳くらいだと、立派なお話になってきます。ボリュームは4~6見開きくらい。
まだ読み書きができない内は、お話を聞きとって文字入力してあげてください。このとき、文法を正しく直そうとはせずに、そのままを書き留めましょう。
文字は、無理に入れなくても大丈夫です。プリントして絵本にしてから、手書きで入れてもいいですし、文字の無い絵本になっても構いません。

実際にワークショップで子どもたちが作ったお話を紹介しますね。
りくくん(4歳)作「りく、でんしゃにのる」。おじいさんとおばあさんに贈る絵本です。

「ピッケりくは、かんがえた。」と、自身をピッケに投影させています。
「どこへ、いこうかな~? どうやって???」

「かみなりにもまけないで!」「あめでもがんばって!!!」 椅子から立ちあがって元気いっぱいでつくっていました。

「おじいちゃま、おばあちゃまのまちについたぞぉ~!!!」「おひさまもでた!!!」
画面左端は、「さいご汽車は車庫に入るんだ」とつくった、りくくんこだわりの車庫です。

文字入力は、りくくんが話すのを聞きとりながらお父さんがされていました。

表紙をつくる

表紙から作り始めてもよいですが、つくりながらお話を組み立てていくという場合が多いと思うので、本文ができあがってから、表紙と裏表紙をつくるほうが考えやすいでしょう。
「題名」や「作者名」の意味が理解できない場合には、日頃なじんでいる絵本で、説明してあげてください。

「ゆかちゃんの好きなうさこちゃん、絵本の題名は『ゆきのひのうさこちゃん』だよ。お話をつくったのは『ブルーナ』さん。
 このお話をつくったのは、ゆかちゃんだから『ゆかこ』って書こうね。」

「表紙は絵本の『顔』。読んでみたいと思ってもらえる表紙をつくろうね」と励ましてあげてください。

表紙も背表紙も、背景色を変更できます。『ゆきのひのうさこちゃん』は白色背景ですね。
裏表紙も忘れずに。お話の余韻を味わう大事なラストシーンです。

録音する

iPadアプリでは、音声録音ができます。ぜひチャレンジしてみてください。
これは、5歳のういちゃんがつくったお話「5さいになったよ!」です。声は、おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さんと一家総出演。裏表紙は、もうすぐ3歳になる妹さんです。
声だけでなく、手拍子、歌を歌う、楽器、音の出るものをなんでも使ってみましょう。

できあがった絵本をプレゼントする

できあがったお話を、紙の絵本、あるいはオンライン絵本として大切な人に贈りましょう。
できれば、ただ渡すだけでなく、読んであげることができるとさらに良いです。

ワークショップでの作品を、「活動レポート」ページの各ワークショップ「子どもたちの作品は こちら」からご覧いただけます。

さいごにひとつ、お願いです。
お話の中に入りきって賑やかにおしゃべりしながらつくる子もあれば、じっくり考えながらつくる子もあります。
静かになって、とまっているようにみえても、心の中でお話がふくらんでいる場合が多いです。
「こうした方がいいんじゃない?」「奥にあるものは小さくしなきゃ」先まわりした指示の言葉は、せっかく想像の世界へ羽ばたきかけた子どもを地面へ引き戻してしまいます。気長に待ってみましょう。
どうしても声をかけたい場合も、プレビューしながらできたところまでを聴かせてもらい「○○が~したんだね」とお子さんが語ったことを繰り返したり、「これから、どうなるのかな?」など返答がオープンになる言葉がけに留めましょう。
もし途中であきてしまったら、保存して終わりにしましょう。

大切なのは、言葉と物語の世界を存分に楽しむこと。
どんなお話の世界へ連れて行ってもらえるか、行き先はお子さんに任せて、一緒に楽しんでみてくださいね。
  
© 2001 Tamie Asakura